NHKエデュケーショナルのお仕事、紹介します。

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どのような就職活動を経て、NHKエデュケーショナルに入社されましたか?

就職活動は希望していた出版社も含めていろいろ受けました。学生時代に日本美術を勉強していたので、「美術のおもしろさを伝えられる仕事をしたい」という思いを軸に活動していた覚えがあります。この会社に入りたいというよりかは、テレビ業界も一つの選択肢という感じで、自分のやりたい美術関連の仕事ができると思って受けました。

最初に担当した仕事はなんですか?

入社してからすぐに研修があり、そのあとは生活部への配属が決まりました。最初に担当したのは『きょうの料理』です。まずは見習いからスタートするのかと思いきや、「あなたが現場を仕切って、あなたが台本を書くの」という感じでいきなり番組のディレクターを担当することになりまして……。「こういう世界なんだ」と、びっくりしましたし、業界用語も分からないのに、決定権を委ねられたことにすごく驚きました。なかなか思いどおりにできないことが歯がゆくて、悔しい思いをしたこともありました。一方で、新人のやりたい演出や提案が実現できるよう、バックアップしてもらえる環境だったので、仕事へのやりがいは非常に大きかったです。演出で狙ったことがちゃんと視聴者から感想をもらえたときは本当にうれしかったですね。多くの人に自分のディレクションしたものを見てもらって、反応が返ってくるという体験は、他の職業では味わえないおもしろさだと思いました。

その後はどのような仕事を担当してきましたか?

『きょうの料理』を2年ほど担当した後は、『ごごナマ』のディレクターに就きました。また、特集番組の『全問リアル就活Q』や『浮世絵EDO-LIFE』などの制作も経験しました。 生活部に4年ほど在籍した後は、特集文化部(現、美術教養グループ)に配属されて現在に至ります。
主に担当しているのは、世界の美術を歌とアニメーションで紹介する『びじゅチューン!』のイベント制作やグッズなどのコンテンツ展開です。番組ではアーティストの井上涼さんが歌とアニメーションを制作し、出演もしています。放送された井上さんの魅力的な作品を、より多くの人に知ってもらえるよう広めていくのが私の仕事です。 イベント制作は、年に数回あるコンサートの演出や、美術館から依頼を受けて展覧会(井上涼さんの個展)を一緒に作っていくなど多岐にわたります。直近では、熱海のMOA美術館さんから「琳派展」という江戸時代に栄えた流派の展覧会の関連イベントとして、コンサートのご依頼をいただきました。
ただコンサートで歌を歌うだけでなく、琳派についても理解を深めてもらえるような演出の工夫が必要でした。イベントは直にお客さんの反応が分かることもあり、演出がハマったときの手応えはひとしおです。
2022年3月に開催予定の『びじゅチューン!コンサート』では、新たな演出にもチャレンジしようと思い、びじゅチューン!のキャラクターに扮したダンサーにも出演してもらう予定です。予算をクライアントと折衝したり、ダンサーが着る衣装の発注を行ったり、ディレクター・プロデューサーの業務はたくさんありますが、出演者やスタッフの方と力を合わせてイベントや番組を作り上げることは、何ものにも代えがたい達成感を得られます。ずっと文化祭の準備をしているようなイメージですね。

『びじゅチューン!』の取材で伺った銅版画の先生の工房にて
MOA美術館のコンサート
大塚国際美術館のコンサート

ディレクターの役割ってなんですか?

例えるなら、ディレクターはシェフのような存在かなと思っています。農家や畜産の方が作ってくれた野菜や肉といった素材を調理してお皿に盛ると言いますか。料理店のフローと似ているなと常に感じています。
もちろん、ディレクターだけでは何もできません。素材を提供してくれる人や協力してくれるスタッフの方がいて成立するものですが、どう味付けするかはディレクターの裁量だと思っています。その味付けがピッタリはまると、お客さんに「よかったよ」と言っていただける。特にイベントは、お客さんの反応が間近で見られるので本当に楽しいです。

「これは大変な仕事だった」という思い出はありますか?

『びじゅチューン!』のコンテンツ展開の一環で、山陽電車さんから依頼を受けて制作したスタンプラリーは、大変だったという意味でも思い出深い仕事です。
これは、井上さんが制作した『姫路城と初デート』という曲と結びつけて、山陽電車が運行する姫路市内の駅に期間限定でスタンプを設置し、参加してくれた人に記念品を贈るという企画です。
最初に依頼されたときは、普通のスタンプラリーだったのですが、井上さんの曲とリンクさせるために「初デート日記」というコンセプトを提案しました。スタンプを設置した駅ごとにデートスポットを紹介することにしたんです。冊子の構成はもちろん、デートスポットの紹介文も自分で書いて、デザイナーへの発注も行いました。紹介する場所を知るために、暑い夏の日に山陽電車の方たちと15km歩いて巡ったのはつらかったけれどいい思い出ですね(笑)。
正直、作っているときは手がけることが多くて、大変だと思ったこともありました。でも、スタンプラリーを手にした人が喜んでいる姿を思い浮かべると楽しくなってくるんです。
私は仕事に向き合うとき、「愛情」と「好奇心」を大事にしているのですが、そういうことを改めて感じられる仕事だったので、思い出に残っています。

大学生に向けてメッセージを!

就活では何でも興味を持っていろいろな業界を受けてみるのが大事だと思っています。そして落ちたとしても、落ち込まないこと。よく「就活は縁」と言いますが、どんな業界や企業とご縁があるか分かりません。出版関係に行きたかった私が今ここで仕事をしているのも何かの縁だと思っています。社会科見学だと思って気楽にいろいろなところにチャレンジしてみてください!
NHKエデュケーショナルは、おそらく他の仕事をしていたら会えないような人や、ふだん行けない場所にも行くことができるのが魅力だと思います。私の場合は、人間国宝の陶芸家の先生のお宅を訪れて取材したり、高野山に延べ20日近く滞在したり……、本当に稀有(けう)な経験をさせてもらっています。一度しかない人生、仕事をしながら自分の人生経験が豊かになるのは儲(もう)けものだと思っています。その上、自分の経験がコンテンツや番組になって、誰かに影響を与えることができるかもしれません。大事なのは「何でも楽しむ」という気持ち。楽しそうだな、と思ったらぜひ弊社にご応募ください!お待ちしています。

伊東 いとう ディレクター
2016年入社
美術教養グループ

なりたかった職業:犬の訓練士、漫画の編集者
尊敬する人:上村松園
好きな食べ物:白米、みそ汁、バター
ストレス解消法:銭湯巡り